文学の町 金沢

2017年10月4日

私が金沢に足繁く通うようになったきっかけが、片町のインドカレー屋パルパティにあることは、すでに書いたわけであるが、その後現在に至るまで金沢通いが継続できているのは、やはり「文学の町」であることが最大の理由なのだと思う。

鏡花の生家跡に建っている「泉鏡花記念館」を始めとし、浅野川沿いの東茶屋街近くにある「徳田秋声記念館」、犀川近くにある「室生犀星記念館」といった三文豪の記念館を回るだけでもおなかいっぱいなのに、その上「石川近代文学館」や「金沢文芸館」を回ったら、それだけで一日フルに使い切ってしまう。

それだけ、金沢という町と、文学は、切っても切り離せない。

この金沢という町は、加賀百万石の文化を有するだけでなく、犀川、浅野川という二つの川を境として東西に寺院群と茶屋街があるという特徴的な構造をしており、川に挟まれた中心街は北陸最大の都市空間でありながら、川の向こうは旧き面影を残しているという、先進性とノスタルジーが同居した不思議な世界を築き上げている。

よく「小京都」などと呼ばれるが、私としてはその言葉を聞くたびに、面白くない思いがこみ上げてくる。私からしてみれば、金沢は京都とはまるで別種の町だ。まあ、その話をし始めると長くなるので、また別の機会に。

都市部においても、どこか裏には魑魅魍魎が隠れていそうな金沢だから、この町において多くの文豪が生まれ、育ち、またこの町に惹きつけられたのも、よくわかる。とにかく創作意欲が溢れ出てくる土地であるのは間違いない。

江戸の頃から道が変わっていないという金沢。かつて文豪達が歩いていたのと同じ道にいるのだと考えながら、のんびりブラブラ歩くのも、また一興である。

 

逢巳